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<障害年金>知的障害者の初診日2

 知的障害の場合の初診日の確認については、疑問が残ります。


 年金という制度は、皆さんご存知のとおり、国民が負担する保険料や税金から賄われています。そのため、法律に従って、年金受給の決定がされる必要があります。「知的障害者の初診日は出生日である」という取扱いですが、そもそも「初診日」とはなんでしょうか?

 国民年金法第30条には、「傷病について初めて医師の診療を受けた日」とされています。確かに、重度の知的障害の場合などは、出生日に診療を受けたといえるかもしれませんが、軽度の知的障害の場合などは、出産時には分かりません。そもそも、知的障害の原因は、不明とされており、全ての知的障害が先天性であるとは言えません。また、聴力や視力などの場合は、先天性の疾病であったとしても、初診日を出生日とは取り扱っておらず、知的障害のみが出生日を初診日とする取扱いをしています。しかも、精神医学の分野は、まだ発展途上であるといえ、他の医学分野に比べて、不明な点が多く、軽度の知的障害が先天性のものかどうかは分かっていません。そして、同じ精神医学の疾病である発達障害の場合は、「出生日を初診日」とする取扱いはされていません。アメリカ精神医学会が出しているDSM-5では、発達障害の原因は先天性であるとされています。
 つまり、「先天性」の疾病であるから、「出生日を初診日」として取り扱っているのではなく、「知的障害」だから、医師の診療を受けていないにも関わらず、「出生日を初診日」として取り扱っていると言えます。

 次に、障害年金を請求する場合、「初診日を明らかにする書類」を添付する必要があります(国民年金法施行規則第31条第2項6号)。

 そして、「初診日を明らかにする書類」が添付できない場合には、
 ① 初診日を添付できない申立書
 ② 初診日を合理的に推定できるような一定の書類
 を添付することにより、本人の申出の日を初診日と認めることができます。

国民年金法施行規則第31条第2項6号
 障害の原因となつた疾病又は負傷に係る初診日(疾病又は負傷が昭和六十一年四月一日前に発したものであるときは、当該疾病又は負傷が発した日を含む。)を明らかにすることができる書類(当該書類を添えることができないときは、当該初診日を証するのに参考となる書類)

 この規定について、「知的障害」の場合は添付は不要であり、「発達障害」の場合は添付が必要となります。もちろん、知的障害以外の先天性の疾病の場合も初診日を明らかにする書類が必要となります。この初診日を明らかにする書類が必要であるということは、納付要件のために年金がもらえない場合があるということになります。つまり、診断書に、「知的障害」と書かれているか、「発達障害」と書かれているかで、障害年金がもらえるかもらえないか、または、障害厚生年金になるのか障害基礎年金になるのかということが違ってきます。「知的障害」と「発達障害」の両方が書かれている場合は、出生日が初診日となります。

 確かに、日本年金機構の「先天性の知的障害の場合は、出生日を初診日とする」という取扱いは、知的障害者にとっては、優遇された取扱いだと考えますが、もし、法令通りに取扱いをしていた場合には支給されない人にも障害年金を支給しているということなります。 実際、「知的障害」で障害年金を請求している人が最近は多くなっているのではないかと思います。老齢年金の受給開始年齢が引き上げられる案が出ていることからも、年金財政は潤沢であるとは言えません。一部の障害者を優遇するのではなく、きちんと法令通りの取扱いをしてもらいたいと思います。

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